論理と感性の先端的教育研究拠点 慶應義塾大学　グローバルCOEプログラム　人文科学分野

■研究内容
　ジョージ・バークリー(1685--1753)というアイルランド生まれの哲学者を私は研究しています。彼の主要な主張の一つに非物質論(immaterialism)というものがあります。それは、一言で言えば、この世界には心と観念という二種類の事物しか存在しないという主張です。これは一見とんでもない主張のように見えます。しかし、慎重に検討すると、心と物体、知覚、科学などに関する難問に答えようとして、バークリーがこの様に主張していたことが分かります。もし非物質論に基づけば、こうした難問に対する答えあるいは少なくとも答える見込みが得られるならば、非物質論は研究するに十分値するでしょう。
　この非物質論の検討を通じて、バークリーの時代におけるそういった問題に解明を与えることが、私の研究目的です。また、現代では、こうした問題と神・宗教の問題は切り離されて論じられがちだと思います。しかし、バークリーは、これらは互いに関係していると考えていました。バークリーの思想は、科学的な見解と宗教的な見解を総合的に眺める視点を、現代の私達に与えてくれると考えています。

■学歴・職歴
法政大学大学院人文科学研究科哲学専攻修士課程修了
慶應義塾大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程在籍

■発表論文・学会発表