遺伝と発達班

慶應義塾大学社会学研究科心理学専攻 教授
山本 淳一
論理と感性の「遺伝」「発達」「発達支援」
乳幼児から児童、成人期にわたって、以下のことを明らかにする研究を進める。ヒトの「論理」と「感性」は、それぞれどのように発達するのか、「論理」と「感性」の相互規定的な関係はどのようなもので、それが「こころ」を形成する上でどのような働きをするのか、「論理」と「感性」の発達を規定する遺伝要因と環境要因はどのようなものか、個人の中の「論理」と「感性」の乖離は、発達の中でどのような問題をもたらすか、さまざまな発達障害を「論理」と「感性」という観点から包括的に見ることはできないか、「論理」と「感性」の固定性と可塑性はいかなるものか、などのテーマを探求していく。
そのために、「論理」(認知能力など)、「感性」(社会性など)の発達が、養育環境(家庭、園、社会)によってどのように規定されているかを、双生児を対象にし、遺伝の影響を統制した上で明らかにする。さらにさまざまな発達段階での双生児コフォート研究を展開し、fMRI による脳機能データとDNA 情報をむすびつけ、遺伝子→脳機能→行動(論理・感性)→社会的・教育的環境の関連をもったデータベースの構築をめざす(安藤寿康、藤澤啓子担当)。
「論理」と「感性」は相互に影響を及ぼしあい、個体の中で全体として有機的にまとまったシステムとして発達すると考えられるが、それらが乖離して発達する場合がある。その場合、どのような心的機能の問題が起こるか、またどのように再統合が起こるかを明らかにする。そのような基礎研究によって得られたデータを発達臨床への応用へと展開する。発達障害を含めた様々な発達上の困難に関して、「論理」と「感性」が、環境との相互作用の中で安定し、バランスのよい発達を促すための「発達支援」方法を明らかにする(山本淳一、大森貴秀担当)。さらに、適切な「発達支援」によって、行動と脳機能にどのような変容が得られるかを明らかにする。
また、発達障害に限らず、家庭から園へ、園から学校へ、の移行過程をスムースに進めるための子育て支援、就学前教育への提言を取りまとめていく。発達は、全てのチームに共通のテーマになりうるので、他のチームとの共同研究を積極的にすすめていきたい。
平成23年度 研究プロジェクトメンバー 遺伝と発達班
氏 名 | 拠点内の身分 | 所 属 |
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山本 淳一 (リーダー) | 事業推進担当者 | 慶應義塾大学文学部心理学専攻・教授 |
安藤 寿康 | 事業推進担当者 | 慶應義塾大学文学部教育学専攻・教授 |
藤澤 啓子 | 事業推進担当者 | 慶應義塾大学文学部教育学専攻・助教 |
皆川 泰代 | 特任准教授 | 慶應義塾大学大学院社会学研究科(CARLS)/ 人間知性研究センター |
太田 真理子 | 非常勤研究員 | 慶應義塾大学先導研究センター(CARLS)/ 慶應義塾大学社会学研究科・訪問研究員 |
菅佐原 洋 | 共同研究員 | 常磐大学人間科学部心理学科・助教 |
竹内 康二 | 共同研究員 | 明星大学人文学部心理・専任講師 |
是村 由佳 | 共同研究員 | NPO法人相談と教育支援室・マネージメントスーパーバイザー |
高橋 玲子 | 共同研究員 | NPO法人日本ポーテージ協会・認定相談員 |
齋藤 香恵子 | 共同研究員 | 白百合女子大学大学院文学研究科心理学専攻後期博士課程 |
大森 貴秀 | 研究協力者 | 慶應義塾大学文学部心理学専攻・助教 |
柳橋 達彦 | 研究協力者 | 慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンター・特別研究助教 |
高橋 孝雄 | 研究協力者 | 慶應義塾大学医学部小児科学・教授 |
池田 一成 | 研究協力者 | 慶應義塾大学医学部小児科学教室・専任講師 |
熊 仁美 | 研究協力者 | 慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻後期博士課程/ 日本学術振興会特別研究員 |
大森 幹真 | 研究協力者 | 慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻後期博士課程/ 日本学術振興会特別研究員 |
敷島 千鶴 | 研究協力者 | 慶應義塾大学先導研究センター・特任助教/ 慶應義塾大学文学部・非常勤講師 |
鈴木 国威 | 研究協力者 | 慶應義塾大学先導研究センター・研究員 |