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心に関するグローバルCOEネットワークによる『行政刷新会議によるグローバルCOEプログラムの評価に対する声明』について
心に関するグローバルCOEネットワークが、行政刷新会議「事業仕分け」第3WGによるグローバルCOEプログラム評価に対して共同声明文を発表しました。
行政刷新会議によるグローバルCOEプログラムの評価に対する声明
心に関するグローバルCOEネットワーク
平成21年12月7日
行政刷新会議の「事業仕分け」によるグローバルCOEプログラムの評価については、すでに全グローバル拠点リーダーによる声明をはじめとして、その問題点を指摘する声明が多く公表されています。われわれは人文科学分野を中心に、「心に関するグローバルCOEネットワーク」を形成しており、その立場からの視点で改めて、行政刷新会議によるグローバルCOEプログラムの評価の問題点を指摘したいと思います。
1)【人文科学の特性】従来、人文科学系では大きな研究予算がつきにくく研究拠点の形成が立ち後れていましたが、平成14年度からの21世紀COEプログラムによる研究拠点形成経費、平成19年度からのグローバルCOEプログラムによる教育研究拠点形成経費により、ようやく教育・研究両面にわたる拠点形成が緒についたばかりです。
2)【全国的活動の展開】心に関する研究は近年急速に進歩を遂げており、全日本的な教育研究体制が必要であるとの認識から、2009年度の日本心理学会大会において「心に関するグローバルCOEネットワーク」形成のためのシンポジウムを開催し、現在5拠点がネットワークを構成し、さらに各拠点が教育研究のハブとなる全国的なネットワークを作りつつあります。
3)【国際的活動の展開】もちろんグローバルCOEは、名称の通り、国際的な研究の拠点とそれを将来になう人材育成のためのものであり、この経費によって、教育と研究の両面において、心に関する研究が国際水準で活動すること、とりわけ各拠点がそれぞれ海外連携拠点を持ち、個人レベルの共同研究ではない国際的ネットワークの形成が可能となっています。
4)【学際的活動】心の研究は神経科学、脳機能画像技術の進歩により、文理融合型の研究へと変貌を遂げており、拠点はそのような設備を提供し、多分野にわたる技術・知識を身につけた若手研究者を育成する機能を果たしています。
5)【心の研究における長期的視点の重要性】心の研究の重要性は現代社会の抱える問題の多くが心の障害に起因するものであることを考えても容易に理解できます。しかし、物質の構造の解明や構築といった研究に比較すると、短時間で眼に見えるような成果が見られる訳ではありません。長期にわたる持続的な教育研究への支援体制が特に必要な分野なのです。
以上のことを考えると、グローバルCOEプログラムの縮減は、まさに船出しようとしている我が国の心の研究を頓挫させることになります。すでに、縮減のニュースにより、将来を嘱望されている若手研究者には厭世的気分が広がっており、このままではかつてのような頭脳流出がおきることは避けられないと思います。今まで以上のグローバルCOEプログラムの充実発展により、我が国が「科学技術立国」を遂げ、心の問題についても世界をリードするための研究の発展に資する科学技術政策をとられることを強く祈念するものであります。
慶應義塾大学グローバルCOEプログラム「論理と感性の先端的教育研究拠点」
拠点リーダー 渡辺茂
京都大学グローバルCOEプログラム「心が活きる教育のための国際的拠点」
拠点リーダー 子安増生
北海道大学グローバルCOEプログラム「心の社会性に関する教育研究拠点」
拠点リーダー 亀田達也
お茶の水女子大学グローバルCOEプログラム「格差センシティブな人間発達科学の創成」
拠点リーダー 耳塚寛明
玉川大学グローバルCOEプログラム「社会に生きる心の創成~知情意の科学の再構築~」
拠点リーダー 坂上雅道